野口裕之の軍事情勢

北朝鮮崩壊後は「中華人民共和国・高句麗省」誕生か 北はレアアースなど地下資源ごと呑み込まれる?

 かくして、地下資源は採掘→技術加工され、核・ミサイルのハード&ソフト・ウエアへと化けていく。かつて、ソ連→ロシアや中国の核・ミサイル開発技術支援を受けてきた北朝鮮だが、最近では独自技術の投入が目立ち、工程・目標通りの自力開発を歩む。後押ししているのは、自国産の原材料を自由・大量に投資できる資源基盤だ。

 一方、経済的に困窮し、核・ミサイル開発費や石油を確保したい北朝鮮は、地下資源を中国に「たたき売り」した。中国語で「支援」「共同開発」とは「併呑」を意味する、らしい。胡錦濤国家主席が2005年に訪朝し、鉱山開発と製鉄工業近代化など、総額2000億円の支出を約して以降、中国の「支援」「共同開発」は怒涛の勢いとなった。韓国紙・中央日報は2011年、《中国が北朝鮮の豊富な鉱物資源を掘り尽くす》と伝えた。

 けれども、2013年に入って潮目が変わる。小欄を書くにあたり、数百発の機関銃弾でハチの巣にされた揚げ句、火炎放射器で焼かれた北朝鮮の実質ナンバー2・張成沢氏(1946〜2013年)の「罪状」を読み直し、途中の一文に目がクギ付けになった。

 《国家財政管理体系を混乱させ、国家の貴重な資源を安価で売り渡す売国行為》

 北朝鮮の豊富な地下資源への開発・投資に積極的だった中国との間を仲介したキーマンこそ、朝鮮労働党の金正恩委員長の叔父・張成沢氏だった。

 さすがに北朝鮮も、中国の「資源侵略」に危機感を覚えたようだ。しかし、張氏粛清で北・地下資源の対中輸出が止まったと考えるのは早計に過ぎる。

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