主張

待機児童の新計画 解消へ着実に課題解決を

 認可保育所などへの入所を待つ待機児童の解消で、政府は今年度末としてきた目標を平成32年度末まで延ばした。

 政府は「待機児童ゼロ」の実現に向け、5年間で53万人分の受け皿の確保を進めてきた。その数字も、当初の想定以上に需要が増え、上積みされたものだ。

 4月時点で待機児童は約2万3700人に上る。達成時期を遅らせること自体はやむを得まい。

 新計画の下でも、問題解決へ課題は多い。22万人分の予算を来年度から2年で確保し、34年度末までにさらに10万人分を整備するという。今後も、需要動向を正確に把握し、肝心の保育士の確保などに力を入れてもらいたい。

 保育所不足を気にかけ、子供をもうけること自体を断念する人、復職を諦めてしまう人がいる。少子化が深刻化するなかで、現状では対策が不十分だと言わざるを得ない。

 安倍晋三首相は「今度こそ終止符を打つ」と意気込みを示している。数字合わせではなく、着実な実施こそ必要である。

 厚生労働省は新計画について、「女性の就業率80%」に対応できると説明する。保育所整備は、安倍政権が掲げる女性の活躍推進に欠かせないものだ。

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