平成24年に9人が死亡した中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故で、うち4人の遺族が中日本高速道路(名古屋市)の当時の役員らに損害賠償を求めた訴訟は、賠償責任を認めず遺族敗訴とした2審判決が確定した。最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)が5月30日付で、遺族の上告を退ける決定をした。
訴訟は、事故前の点検で設備の劣化を見抜けなかったことについて、役員個人が責任を負うかが争われた。
1審横浜地裁判決は28年2月、役員は点検の詳しい手順を知らず、認識すべき立場でもなかったと指摘。「事故は予測できず、必要な指示を怠った過失もなかった」と結論付け、請求を棄却した。28年10月の2審東京高裁判決も支持した。
遺族が中日本高速と子会社を相手取った別の訴訟では、横浜地裁が会社側の過失を認め、計約4億4千万円の支払いを命じた判決が確定している。