シワハイルカとカズハゴンドウ新たに捕獲可能へ 和歌山・太地町関係者は大歓迎

 ■水産庁提案、「知見さらに広がる」

 東日本から沖縄の沿岸に生息するシワハイルカとカズハゴンドウの2種類について、新たに捕獲できる見通しになった。水産庁が30日、農林水産省の水産政策審議会に提案、認められた。追い込み漁やクジラやイルカの研究を進める太地町の関係者からは、「学術研究都市の一助になる」「知見がさらに広がる」と歓迎の声が聞かれた。

 「歯にしわを持つ」という意味のシワハイルカは、今でも南紀地方のホエールウオッチングで見ることができ、40年以上前までは食用にしていたという。水族館ではほとんど飼育されておらず、沖縄美ら海水族館で見ることができる。

 カズハゴンドウは、昔から追い込み漁の対象となっておらず、飼育例もほとんどない。遠洋を好むため、たまに海岸に打ち上げられているのが見られる程度だという。

 太地町の三軒一高町長は「研究対象が増えることは、学術研究都市を目指す町にとってもはずみになる」と歓迎の意向を示した。

 同町では現在、森浦湾に百頭規模のクジラやイルカを飼育し、研究する「クジラの海」構想が進んでいる。三軒町長は「世界のクジラ学者を集めて研究してもらいたい。『見るだけでいいじゃないか』という声もあるが、研究することが大切だと思う」と話した。

 同町には、123頭のクジラやイルカが飼育されている。町立くじらの博物館では現在、同町の追い込み漁で捕獲が許可されている7種類のクジラすべてを飼育している。

 桐畑哲雄副館長は「水産庁は、海洋資源を適正に管理し、有効に使おうという考えからの判断だと思う」としたうえで、「新たな種類を捕獲して飼育することで、知見が広がることは確かだ」と話す。今年の追い込み漁に間に合えば、2種類のクジラを購入し、展示したいという。

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