江戸時代にも猫ブームがあった…特別展「いつだって猫展」開催 京都文化博物館

明治から昭和にかけて全国でつくられた「招き猫」=京都市中京区
明治から昭和にかけて全国でつくられた「招き猫」=京都市中京区

 古くから多くの人に親しまれてきた猫の絵や人形など、猫ブームの起きた江戸時代後期の作品を中心にした特別展「いつだって猫展」が、京都市中京区の京都文化博物館で開催されている。かわいらしいものから少し怖いものまで約200点を展示。人気投票なども行われており、これまでにない工夫が凝らされた楽しい展示会になっている。

 猫は平安時代から親しまれ、宇多天皇の日記にもペットとして飼っていた記録が残るほか、鎌倉初期ごろに描かれたとされる鳥獣人物戯画にも登場する。江戸時代にはネズミを捕まえる「益獣」になる一方で歌舞伎に化け猫が登場するなど、すっかり市民生活に定着している。

 今回の展覧会では、猫ブームを巻き起こした江戸時代後期を中心に、猫を取り扱った絵や人形などの展示を通して、当時の世相や人々の熱狂ぶりなどを紹介する。

 第1章 江戸の暮らしと猫▽第2章 化ける猫▽第3章 人か猫か、猫か人か▽第4章 福を招く猫▽第5章 おもちゃ絵になった猫-の構成になっている。

 約200点の展示物の中で約4分の1を占めているのが、猫好きで知られる江戸時代後期の浮世絵師、歌川国芳(くによし)の作品。国芳の周囲には常に5、6匹の猫がいて、死んだ猫には戒名を付けて丁寧に弔ったといわれるほどだ。

 国芳は単に猫の描写にとどまらず、擬人化はもちろん、猫を組み合わせて「なまづ」や「たこ」などの字を表現。当時歌舞伎で流行した猫を描いた団扇(うちわ)を持って踊る舞台も描いて人気をとるなど、天保の猫ブームの立役者といわれている。

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