混迷文科省 前次官告発(中)

獣医学部50年新設なし 強力な権限、「教育村」に君臨する官庁

 そもそも強力に物事を進めたい官庁が、首相らの意向を振りかざすことは、霞が関で珍しくない。ある省庁の中堅幹部は「そんな意向に惑わされず行政のプロとして信念をもって議論を重ね、最後は『政治判断に従う』というのが役人のあるべき姿」と指摘し、退職後に政府批判を展開した前川への違和感を隠さない。

 その違和感の正体は何なのか。官僚の間には、前川らOBを含め文科省職員43人が処分された違法な天下り斡旋(あっせん)問題と通底する、との声が広がる。

 官民癒着の批判を受け、現職による斡旋を禁じた改正国家公務員法施行(平成20年)以降も横行した文科省での天下り問題について、別の省庁幹部は「法改正後も文科省だけには、なぜか切迫した雰囲気が感じられなかった」と、漏らす。

 強力な権限を手に「教育村」に君臨してきた文科省。「自己中心的で世間知らず」。霞が関では同省の混迷の要因について、こうした見方が絶えない。(敬称略)

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