開発ヒストリー

「米国で成功するクルマに。日本の顧客も考慮せよ」この社長命令でSUBARU「インプレッサ」は始まった

 また、重心を低くしたことで真っすぐ走る安定性が増し、振動による騒音を抑制。同社は運転支援システム「アイサイト」で先行したが、「プラットフォームは安全性能の根幹。(他メーカーに比べて)優位性は高い」(吉永社長)。

 ブランドを象徴する安全と走りの追求は進んだが、阿部氏を最も悩ませたのが、吉永社長の「(小型車を求める)日本の顧客需要も考慮せよ」との注文だった。米国では小型車も車内を広げて車体を大きくする傾向があり、「同じ価格帯の競合車よりも小さいと損をしている」と思われる恐れがあった。

 ただ、米国市場を優先して車体を大きくすると、狭い道が多い日本ではすれ違い時の接触や、切り返しづらさにつながる可能性がある。

 注文を踏まえ、阿部氏は日本市場の要求を正確に把握するため、東京都や埼玉県の3つの販売店の店員約20人から年2回程度の聞き取り調査を行った。店員から「(狭い道だと)すれ違いでドアミラーが接触する」などの意見を聞き、「定点観測で開発のヒントを得ていった」(阿部氏)

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 結果、米国市場の要求に合わせて車幅は3.5センチ広げたが、左右のドアミラーを含んだ幅は従来モデルと同じ201.9センチに抑えた。全長も4.5センチ延びたが、切り返しやすさの指標になる最小回転半径は従来モデルと同じ5.3メートル。日米で相反する要求を両立させた。