前屈で正しい姿勢を
「前屈ができない人は、ハムストリングスだけでなくお尻やふくらはぎの筋肉も硬い人が多いのですが、ハムストリングスが縮むと骨盤が後ろに傾き、猫背になり、肩や首もこりやすく腰痛にもなりやすい」と谷さん。前屈をすると、次の筋肉を動かすことができる。
(1)背中の両側を走る脊柱起立筋
(2)肩甲骨の下に広がる広背筋(こうはいきん)
(3)大腿(だいたい)骨と骨盤につながる大殿筋(だいでんきん)
(4)ハムストリングス
(5)ふくらはぎにあるひらめ筋とひふく筋
この結果、骨盤のゆがみは解消され、肩甲骨の動きもよくなり、正しい姿勢を保ちやすくなるという。
「お尻と太もも裏の筋肉の柔軟性が高まることで体のふらつきが減り、脚は上がりやすくなる。その結果、段差につまずいたり転んだりすることも少なくなる。前屈ができる軟らかい体になると、けがもしにくくなるのです」
高まる体の軟らかさへの関心
谷さんは前屈を、次の6段階に分類する。
(レベル1)「手が太ももにつく」
(レベル2)「手がひざにつく」
(レベル3)「手がすねにつく」
(レベル4)「指先が床につく」
(レベル5)「指の根元が床につく」
(レベル6)「手のひら全体が床につく」
本の中では、各レベルに適した柔軟方法を5種ずつ紹介。重要なのは回数をこなすことよりも、背中を丸めずに行うなどフォームを大切にすることだ、としている。
「筋トレは強度、柔軟は頻度が大切。背中を押してもらって無理に前屈したりすると、限界可動域を越えて筋肉を傷める可能性もあるので、気持ちいいと感じる程度で止めてください」と谷さんはアドバイスする。
(文化部 村島有紀)