大量のユダヤ人を殺害したホロコーストの責任者、アドルフ・アイヒマンは、ただただ命令に従っていた「凡庸」な男だった。アイヒマンのように、権威者の指示に従ってしまう人間の心理を調べるための「ミルグラムの実験」。1963年から度々繰り返されてきたこの実験がいま、再び行われた。
1963年に行われた「ミルグラム実験」の様子。
「わたしの罪は、従順だったことだ」(アドルフ・アイヒマン:Wikipediaより)
あなたは強大な権威をもつ誰かに、ほかの人間を傷つけたり、殺害したりするような残虐な行為を命じられたとき、その命令に背くことができるだろうか。苦痛を訴える絶叫や、悶絶の金切り声を聞きながら、権威者の「迷うことはありません。この実験を続行してください」の超然たる一言で、さらなる苦悶を促すボタンを押すことを選ぶだろうか。