主張

統幕長発言 自衛隊員の名誉を守った

 憲法に自衛隊を明記しようという、安倍晋三首相の発言の感想を求められた河野克俊統合幕僚長が、「非常にありがたい」と述べた。

 これを一部マスコミや政党が批判しているのは、理解に苦しむ。

 自衛隊員は命をかけて国を守っている。首相の問題意識は、その組織がなお「違憲」とも指摘される状況を解消することにある。

 当事者として、自衛隊の存在が肯定されるなら率直に歓迎するというのはごく自然ではないか。

 そう受け止めずに、軍事組織の政治介入などと唱えるのは、自衛隊を否定的にとらえ、敵視する姿勢さえうかがえる。

 河野氏の発言は23日の講演時の質疑におけるものだ。正確には、「憲法という非常に高度な政治問題なので、統幕長という立場から申し上げるのは適当ではないと思う」と、まず述べている。

 そして「一自衛官として申し上げるなら」と断ったうえで「ありがたい」と続けた。

 自衛隊の役割を今後、拡大するかどうかという点についても、河野氏は「これはもう、いつに政治の決定によるもの」として見解を控えた。つまり、政治的意図を込めた発言はしない前提で、自衛隊員としての心境を示している。

 菅義偉官房長官が「あくまでも個人の見解」で全く問題はないと判断したのは妥当だ。

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