最近、葬儀では「好きな音楽で送られたい・送りたい」と考える人が多い。だが、インターネットの会員制交流サイト(SNS)で、「葬儀に父が好きだった音楽を流したいと言ったら、葬儀社に『著作権の問題がある』と言われた」などとの投稿があり、賛否両論の議論となった。葬儀場で自由に音楽を流すことはNGなのだろうか。
◆著作者の権利
ネット上では、「葬儀のときにまで著作権を持ち出すのは無粋」「葬儀だからといって権利を侵害してもいいわけではないだろう」などと、意見は割れた。
音楽は、制作者に「著作権」という権利が認められている。権利の保護期間は制作者の死後50年。この著作権の中には、コピーを作ることをコントロールできる「複製権」や、公衆に直接聴かせるための演奏をコントロールできる「演奏権」などがある。演奏権は生演奏だけでなく、CDをかけることも含まれる。
日本には作曲家や作詞家らの委託を受けて音楽の著作権を管理する団体がいくつかある。最も大きい団体が日本音楽著作権協会(JASRAC(ジャスラック))だ。
JASRACは昭和14年設立で、国内外の約350万曲の著作権を管理。音楽の使用料を徴収している。平成28年度の年間徴収額は約1118億円にのぼる。