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中国企業が大手投資銀の筆頭株主に 海航集団 米メディア報道 共産党幹部らの関与あるのか

 中国の民間企業グループ、海航集団が欧州金融大手のドイツ銀行の筆頭株主となったことが、米証券取引委員会(SEC)に提出された報告書などで明らかになった。中国民間航空大手の海南航空などを傘下にもつ海航は年間売上高300億ドル(約3兆4000億円)を誇り、これまでも海外のホテルチェーンなどへの積極投資で知られてきた。今回は企業の経営戦略に大きな影響力を持つ投資銀行大手にも触手を伸ばした形だ。一方、海航は中国の国有銀行のバックアップを受けているとされ、中国共産党幹部との親密な関係も取り沙汰されている。海航の派手な買収戦略の真の狙いは明らかにはなっておらず、米メディアも強い関心を寄せている。

 SECに提出された報告書によると、海航は3、4月に資産運用会社を通じてドイツ銀行株の買い取りを進め、現在、普通株の9・92%を保有。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)などは5月3日、海航がカタールの王族や米投資ファンドなどの他の株主を上回るドイツ銀行の筆頭株主になったと一斉に報じた。

 海航は昨年10月、ホテル大手ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングスの株式取得で合意。今年1月にはトランプ大統領の選挙資金集めを担ったアンソニー・スカラムーチ氏が設立した投資会社の株式を買い取ると発表し、中国との対決を強調してきたトランプ氏への接近を図っているともみられている。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、海航が昨年11月までの約1年半で使った買収資金は約310億ドルにものぼるという。

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