面会後に子供に悪影響
面会交流による子供側への悪影響も懸念されている。
ドメスティックバイオレンス(DV)の家庭にいて離別した子供が、離婚後に親と面会することで、ひきこもりや抑鬱状態になるなど情緒や行動に問題が増えることが、東京大院医学系研究科のキタ幸子助教らの研究グループの調査で判明した。
調査は平成27年3月〜28年12月に、全国のDV相談施設などの協力を得て、DV加害者と別居し、4〜18歳の子供を持つ母親など38世帯51人に対し、子供と父親の面会の頻度、面会後の子供の反応などを尋ねた。
調査結果では、DV被害の平均期間は約10年で、離別から平均7年の別居状態にあった。父親と子供の面会は、平均年間2・2回だった。
面会後の子供の状況を尋ねたところ、2人に1人が抑鬱状態になったり、攻撃的な行動を取ったりする問題が生じたという。父親と「面会なし」と答えた人と比べると、問題は10倍以上になったという。研究は「DV加害者である父親との面会は、子供の健康や行動的発達に悪影響を及ぼす可能性がある」と結論付けた。
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■「ドメスティックバイオレンス(DV)」 夫から妻、親から子供など近い関係者間での暴力行為。生活の本拠をともにする交際相手や、離婚した者も含む。ドメスティックは「家庭内」という意味。肉体的暴力だけでなく、言葉の暴力や、物の破壊なども含む。