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離婚後の父が復讐鬼? 子供との「面会交流」で殺害の悲劇が止まらない

 ただ、母子支援に携わる弁護士らは「児童虐待やDVのケースへの配慮が明確でない」として法案に反発。特に父母間で対立が激しい場合は、子供の心身に悪影響を及ぼすと危惧している。

 関係者によると、米国では面会交流で子供が殺される事件が年間平均約70件あり、父親の殺しの動機が「去っていった母親への復讐が、子の殺害だ」とする米国研究者の見解もある。

 オーストラリアでは2006年に親子断絶防止法が制定されたが、父親が面会中の子を殺害する事件が起きたため、その後、子の安全を重視する法改正が行われた経緯がある。

 武蔵大の千田有紀教授(社会学)は「裁判所がすべきことは面会を一律に押し付けることではない。面会交流を支援する民間機関を活用する方法もあるが、日本では数が少なく、利用者側の費用の負担も大きい。国の積極的支援が求められるほか、支援機関が専門家として、裁判所と協力して面会の結果を検証するなどの必要がある」と強調する。

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