正論

トランプ氏の当選にあきれ、暴言を批判する時期は終わった 「補完外交」でアジア政策の強化図れ 同志社大学教授・村田晃嗣

同志社大学教授・村田晃嗣氏(恵守乾撮影)
同志社大学教授・村田晃嗣氏(恵守乾撮影)

≪不透明なトランプ政権の戦略≫

 アメリカのトランプ政権発足から約4カ月が経過した。この間に、同政権の内政と外交双方での問題点や課題が、かなり明らかになってきたように思われる。

 まず内政では、イスラム移民の入国を制限し、メキシコとの国境に壁を設置するといった選挙期間中に耳目を集めた政策は実現していない。前回も指摘したように、アメリカ大統領の制度的な権限には、さまざまな制約がある。トランプ大統領が発した大統領令のいくつかには、裁判所が差し止め命令を下した。壁の建設に要する費用も、議会の反対で予算に盛り込めていない。オバマケアの廃止すら与党・共和党内で足元がまとまらず、見送らざるを得なかった。

 減税はともかく、10年間に1兆ドルの公共事業投資となると、個別の費目をめぐって議会と血みどろの戦いとなろう。しかも2018年11月には中間選挙が待っている。上下両院のどちらかでも多数を失えば、政権の運営は一層困難になる。メディアとの確執も続いているが、ロシア疑惑をめぐるコミー米連邦捜査局(FBI)長官の突然の解任は、一歩間違えばウォーターゲート事件に匹敵するスキャンダルになりかねない。

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