TPPが11カ国で発効した場合、合意内容を変更しなければ相対的に他国の輸入枠が拡大する上、米国からの輸入量を算入しない分セーフガードなどの保護措置も発動しにくくなる。
一方、TPP11は米国に翻意を促すための揺さぶりになるとの見方もあるが、米国の復帰を拒む姿勢は強く、楽観はできない。
農水省にとって、TPPの合意内容を変更せず早期の発効はしたものの、米国は復帰せず、2国間交渉でTPP以上の条件で市場開放を迫られるというのが最悪のシナリオだ。
山本有二農水相は19日の記者会見で「安易に11カ国で発効して後からアメリカが戻ってくればいいというものではない」とTPP11を牽制(けんせい)した。
今後交渉が進めば、国内でも農業関係者の反対意見が発効に向けた大きな壁となる可能性がある。(高木克聡)