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今年7月に世界遺産登録から10年を迎える石見銀山(島根県大田市)で昨年、江戸時代に採掘していた銀や銀を含む鉱物の標本が地元の資料館で多数確認され、現在大阪大学総合学術博物館で研究が進んでいる。江戸時代の幕藩体制下では銀などの鉱石の持ち出しは難しく、採取時期や場所など来歴の分かる標本は皆無。往時に世界の銀の3分の1を産出していたにもかかわらず、これまで謎に包まれていた石見銀山の姿がベールを脱ぎはじめた。(藤浦淳、小林宏之)
■江戸期の経営実態の「謎」解明へ
代々山師(技術者)だった家系の古民家で発見、石見銀山資料館に寄贈されていた。大阪大学で石薬(せきやく)の研究に携わる総合学術博物館の伊藤謙・特任講師が昨年末に標本を確認。益富地学会館(京都市上京区)の石橋隆研究員とともに、詳細な分析を実施した。
標本は木箱に入った58点で、いずれも数センチ大。天保や文久など江戸後期の採取年月日や場所(坑道)、名称などが詳細に書かれた和紙にくるまれていた。