別れを告げたのも、美咲さんから生活態度についていろいろと注意を受けたことが原因で、不当に婚約を破棄したものではない、と訴えた。
1審は「合意なし」
1審判決は、エリックさんが経済的、精神的に支えるという意味で「甲斐性がある」と答えた▽将来の子供の話をし、お互いの両親や親族に紹介しあった▽エリックさんに仕事を辞めるように言われ、美咲さんが勤務先を退職した▽2人で新居を探していた-といった事実を認定しながら、「婚約成立」とはみなさなかった。
まず結納などの外形的事実がない場合、婚約の合意については慎重に判断すべきだとの立場を示した。そして、美咲さんがエリックさんを両親や親族に紹介したことについて、判決は交際からまだ2カ月しか経っておらず、婚約の確実な合意に基づくものとはいえないと判断した。
また美咲さんが新居契約時に同居人欄を「なし」と記載したことについて「婚姻生活の本拠と考えていなかったのではないかという疑問を抱かせる事情の一つ」とみた。
高裁は「儀式必要とせず」
だが世の中には、出会って数日で結婚を決めるカップルも存在する。いまどき結納をする人もそれほど多くはないだろう。
美咲さんの控訴を受けた大阪高裁は一転して婚約の成立を認め、エリックさんに約110万円の支払いを命じる逆転勝訴を言い渡した。
高裁は、婚約成立には当事者間の将来婚姻するという意思があれば足り、結納や指輪交換など慣習上の儀式を必要としていないと指摘した。