【モスクワ=遠藤良介】ロシアのプーチン大統領は14日、北京での「一帯一路」に関する国際会議で基調演説を行い、中国の構想がロシア経済の発展に資することに期待感をにじませた。ただ、プーチン政権は、自国が「裏庭」とみなす旧ソ連の中央アジア諸国で中国が影響力を増していることを強く警戒してもいる。プーチン氏は今回の訪中で、ロシア主導の「ユーラシア経済連合」と「一帯一路」を共存させる道筋を探ろうとしている。
プーチン氏は演説で、「一帯一路」の構想は「時宜にかなった将来性のあるものだ」と習氏を称賛。ユーラシア地域での協力を「調和的でバランスのとれたもの」にするために、欧州連合(EU)も積極的に参加するよう呼びかけた。
中国とEUの間に位置するロシアは、中国の投資が自国の鉄道・港湾整備などに向かい、課題とする極東地域の発展にもつながることを期待している。ただ、目玉事業とされるモスクワ-カザン間の高速鉄道計画すら進展しておらず、中国側の慎重姿勢が目立つ。
プーチン政権は2015年、中国の構想とユーラシア経済連合の「接続」を進めると宣言。中国の経済力が中央アジア地域に侵食するのを食い止める狙いがあった。しかし、中国がカザフスタンやキルギスなどと2国間での関係を深める中、「連合」と「一帯一路」の共同事業はほとんど具体化していない。プーチン氏は「連合」の盟主として、ロシアの立ち位置を固めようと躍起だ。