患者の期待と現実とのギャップに危機感を抱いた国立がん研究センター(中釜斉理事長)は3月、「がん情報サービス」のウェブサイトを全面更新した。
一般に広まる各種の免疫療法を具体的に挙げ、有効性が科学的に証明されているか否かで分類。その上で、有効性が科学的に証明されていない免疫療法について、「まだ効果が明らかにされていないので慎重な確認が必要」と、踏み込んだ表現で注意を促した。
同センターの若尾文彦がん対策情報センター長は「ニボルマブ(オプジーボ)などの登場で、免疫療法に効果があるのでは、と大きな期待が生まれた。その期待を利用するような形で、効果が明らかでない免疫療法も広がっている。正しく理解して、正しい選択をしてほしい」と訴える。
有効性が証明されていない免疫療法が自費診療で広がることに、危機感を抱く医師は多い。
「東京オンコロジークリニック」(東京都千代田区)代表の大場大(まさる)医師もその一人。「治療が保険診療でないとすれば、それは効く根拠が薄いから。効くならば、医師は科学的に立証すべきだ。患者の体験談をホームページなどに連ねるのではなく、客観データで有効性を証明する必要がある」と話す。