シャープ、反転攻勢の切り札は「しゃべる家電」技術 人工知能で観光案内、クラウド使い外出時防犯…「IoT企業へ転換図る」

 シャープが、「しゃべる家電」で培った技術の企業向け販売を始めたことが9日、分かった。機器同士が情報をやり取りするIoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)に関連するノウハウを生かし、システム開発やサービス提供を請け負う。26日に発表する中期経営計画で、IoT事業を新たな収益の柱として位置づける方針だ。

「AI+クラウド」で観光案内

 シャープは、AIとIoTを組み合わせた「AIoT家電」を28年度から展開。人と「対話」しながら作動するオーブンレンジや液晶テレビ、ロボット型スマートフォン「ロボホン」などを販売している。

 戴正呉社長は「総合家電メーカーからIoT企業へ転換を図る」としており、昨年9月に「IoTクラウド事業部」を新設し、AIoT家電の技術者約200人を配置。ネット上で運営するプログラムやAIを他社に提供する「クラウドサービス」の営業を今年度から始めた。

 例えば住宅設備メーカー向けには、玄関の電子錠や家電、設備をクラウドで連携させ、外出時に鍵をかけるとエアコンが停止し、シャッターが閉まるといったシステムを提案。観光事業者向けには、クラウドのAIにより音声対話の観光案内やアンケートができると売り込む。必要なシステムの開発、通信機器の販売、クラウドサービスの継続的提供などで収益を得る。

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