日本の電機大手が欧米勢に後れをとっている人工知能(AI)分野の技術開発や商機獲得に向けて本格的に動き始めた。パナソニックは平成33年をめどにAI分野の技術者を現在の約100人から千人程度に増やす方針を表明。東芝、NEC、富士通の3社もそれぞれ理化学研究所と研究を進め、大手とベンチャーの連携も進む。ただ、業種や国境を越えた技術者争奪戦が過熱するなど大きな壁も立ちはだかっている。
「5年や10年はかかるかもしれないが、数百億円規模のビジネス創出を目指したい」
AI事業の強化を成長戦略の柱の一つに位置づけるパナソニック。宮部義幸専務は4月19日の会見でこう意気込みを述べた。
同社は完全自動運転車でAIが学習を繰り返して理解を深める「ディープラーニング(深層学習)」の仕組みを導入し、使う度に運転レベルが向上するシステムを32年度中に完成させる方針。また、衣類の種類や色などを見分けるAIを搭載し、自動で折り畳んで仕分けるロボット家電の開発にも取り組んでいる。