フード 食・旬

アシタバ メタボ予防でも注目

【フード 食・旬】アシタバ メタボ予防でも注目
【フード 食・旬】アシタバ メタボ予防でも注目
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春先から初夏の風物詩として、静かに人気を集めている日本原産の野菜「アシタバ」。伊豆諸島や関東地方、九州などで自生、栽培されており、しゃきっとした食感と独特のほろ苦さが元気を与えてくれる。産地の一つ、茨城県つくば市の農園を訪ねた。(高橋天地)

強い生命力

アシタバは海岸沿いの草原などに生えるセリ科の大型多年草。今日、葉を摘んでも明日には新芽が出る-との言い伝えもあるほど生命力が強く、「明日葉(あしたば)」の名の由来になったという。

つくば市西岡の「かぎまさ農園」(岡野正美オーナー)の畑では、高さ30センチ前後に成長したアシタバが緑色の絨毯(じゅうたん)を作っていた。ピンと張った茎とつやのある葉が印象的だ。

栽培を始めたのは平成元年ごろ。新たな野菜作りに挑もうと、岡野さんの母、光子さん(72)が旅先の伊豆大島(東京都大島町)で種を購入したのがきっかけだ。

「肥料は落ち葉をかぶせた程度。化学肥料は使っていません。年々猛烈な勢いで増えましたよ」と光子さん。心がけたのは日陰に種をまくこと。アシタバは直射日光に弱いためだ。

遠方への出荷も難しい。収穫したアシタバは日持ちしないことや、茎や葉からネバネバした黄色い液体「カルコン」がにじみ出るため、長距離の輸送に向かないという。光子さんは葉を摘みながら「ご近所におすそ分けしたり、自宅で天ぷらやおひたしにしています」と話した。

「カルコン」の効能

江戸時代には、儒学者で本草(ほんぞう)学者としても知られる貝原益軒(えきけん)が著書『大和本草』で、滋養強壮によい八丈島(東京都八丈町)の薬草-と紹介したように、アシタバと日本人との関わりは古く、深いようだ。

東京都中央卸売市場が取り扱った28年のアシタバの出荷量は約62トン。東京都の約58トンを筆頭に、宮城県と茨城県がそれぞれ約1.6トンで続いている。

近年、健康食品メーカーはアシタバを使った商品の開発に力を入れている。宝ヘルスケア(京都市)は鹿児島産アシタバを使った青汁、お茶、サプリなど関連商品を7種類も登場させた。

各メーカーが注目しているのはカルコンの効能だ。カルコンは抗菌作用のあるポリフェノールの一種。生活習慣病の予防に詳しい前田クリニックの前田和久院長は「内臓脂肪を減らす善玉ホルモン『アディポネクチン』の分泌を促進し、メタボリック症候群の予防にもつながる」と話す。

チャーハンなど

管理栄養士の平野美由紀さんがすすめる調理法はチャーハン、チャンプルー、そして豆乳とミキサーにかけるスムージーの3点。

平野さんは「アシタバは脂質代謝を促すビタミンB2が豊富で、脂肪を多く取りがちなチャーハンもヘルシーになる」と説明。カルシウムの豊富なジャコやサクラエビ、タンパク質を含む卵も加え、栄養バランスを整えてほしいという。

また、チャンプルーには消化酵素の分泌を促すトマトも添え、アシタバの栄養成分の吸収をより高めたい。スムージーはリンゴを混ぜるのがポイント。平野さんは「アシタバ独特の苦みや香りをマスキングできるほか、整腸作用もあります」と話している。

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