感染危機 薬が効かない(上)

「聖なる大河」に漂う耐性菌 発熱・吐き気…体調不良の住民続出

 もっとも、治療の成功例を語る宮入の表情は晴れない。カルバペネム系抗菌薬はあらゆる細菌に効果があることから、医療現場で便利に使われてきた。「その結果、カルバペネム耐性を持つ菌が出てきた。だからなるべく使わないようにしないといけない」。命を守るためには抗菌薬を使うほかないが、そうした治療が新たな薬剤耐性菌を生む可能性があるのだ。

 実際に、カルバペネム系抗菌薬に耐性を持つ大腸菌などによる感染症は増えている。厚生労働省のまとめでは、日本は平成12年からの10年で人への抗菌薬使用量は減り、欧州に比べても特別多いわけではない。しかし、カルバペネム系を含む「セファロスポリン、その他のβラクタム」や「マクロライド系」の抗菌薬が欧州よりも多く使われている。

 国立感染症研究所(東京都新宿区)によると、27年にカルバペネム耐性を持つ腸内細菌による感染症は1669例報告され、3・5%に当たる59人が死亡した。10歳未満の感染は37人で、年齢別ではこのうち0歳児(18人)が最も多かった。

 薬剤耐性菌と抗菌薬のいたちごっこを象徴する感染症は他にもある。かつて4年ごとに流行し、「オリンピック病」と呼ばれていたマイコプラズマ肺炎だ。学童期の子供に肺炎を起こしやすく、その場合は抗菌薬で治療が行われる。

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