感染危機 薬が効かない(上)

「聖なる大河」に漂う耐性菌 発熱・吐き気…体調不良の住民続出

 あるドイツ人男性(78)はニューデリーで昨年末に転倒して骨折、現地で手術した。帰国後、発熱したため病院で治療を受けたが抗菌薬が効かず、耐性菌の感染が判明。現在も発熱は治まらず、医師らは「具体的な感染経路は分からないが、時期はニューデリー滞在期間と考えられる」と話しているという。インドでは、耐性菌に関する政府の研究は進んでおらず、現状の脅威がどれほどかは不明のままだ。

 人口が13億人を超える中国では医療現場での抗菌薬乱用が激しく、飲用水の抗菌薬汚染が社会問題化している。中国の研究機関、中国科学院の調査報告(2015年6月)によれば、中国の58流域の調査で主だった36種の抗生物質の排出濃度が最も高かったのは北京市、天津市、河北省などを流れる海河で、次いで香港、深セン市、マカオなどを結ぶ珠江デルタだった。

 中国政府は16年夏、20年までの5カ年の計画を策定し、新型抗菌薬の開発や薬局における処方箋に基づく抗菌薬の販売の徹底などに取り組んでいる。ただ、それが奏功する保証はない。中印両国が手をこまねく耐性菌。日本の現状は一体どうなのか…。

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