感染危機 薬が効かない(上)

「聖なる大河」に漂う耐性菌 発熱・吐き気…体調不良の住民続出

 原因は、現地の汚水処理システムの能力をはるかに超える汚物が未処理のまま川に流されたためとみられる。耐性菌やその遺伝子は人間の腸内で生成されたと考えられ、耐性菌は沐浴(もくよく)する別の人に感染し連鎖的に増えていく可能性がある。

 「薬屋が抗菌薬(抗生物質)を売るには医師の処方箋が必要なのに、インドでは誰もこれを守らない」

 地元の科学ジャーナリスト、シャクン・パンディー(39)は顔をしかめながらこう述べ、「患者は不必要な場合でも抗菌薬を飲む。しかも中途半端な服用でやめてしまうことが多いため体内で耐性菌が増えていく」と続けた。

 耐性菌はガンジス川からの浄水にも混入している可能性もあり、ニューカッスル大教授で研究チームのデビッド・グラハムは「無節操な人間と産業の排泄(はいせつ)・廃棄物の処理と管理をどうするかが耐性菌拡大を防ぐ上で最大の課題だ」と話す。

 一方、パンディーは「養殖場や養鶏場では、魚やニワトリに感染症予防の抗菌薬を与えている。それを食べた人間に、耐性菌が蓄積される」と語った。

 インドでは数年前から、治療を受けた経験のある患者がその後、欧米などの医療機関で改めて治療や検査を受けた際にNDM-1が発見される事例が相次ぐなど、危険が高まっている。

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