神奈川県警の若きホープ

(2)音楽隊カラーガード・北山瑞季さん

 ■活動PRへ「より上質な演技を」

 女性警察官が色とりどりの旗を一糸乱れぬタイミングで振り歩き、人々を魅了する県警広報県民課音楽隊カラーガード。ひときわ目を引く白色の衣装に身を包むのが、リーダーの北山瑞季巡査(22)だ。この3月から伝統あるチームを率い始めたばかりの北山さんは、県民に親しまれる警察活動をPRするため「より上質な演技を目指す」と意気込んでいる。 (河野光汰、写真も)

 横浜市内の高校で過ごした3年間は、バトントワラー部での活動一色だった。他部の応援のため、各会場に出向き、チアリーディングやバトン演技などを披露した。

 ◆CA志望から転換

 身長170センチのすらっとした体格に、きりっとした顔立ち。一時は「キャビンアテンダント(CA)になりたい」と、英語の勉強などに精を出した。だが、高校3年の夏、教諭に進路を相談すると、「あなたは正義感が強い。警察官はどうだ」との金言を授かった。部活で副部長を務めた責任感や、演技にミスがあればはっきりと指摘する性格を見込んでのことだった。

 その言葉を信じ、県警を受験して合格。「ほっとしたが、どんな生活が待っているか想像できなかった」と不安を抱えながら、警察官人生をスタートさせた。

 音楽隊を志した理由の一つは、交番勤務時代にあった。警察学校卒業後に配属された神奈川署(横浜市神奈川区)の東神奈川駅前交番で住民らと接するなかで、警察に良いイメージを持っている人がそれほど多くないことに気が付いた。

 そんなとき、脳裏をよぎったのはバトンに打ち込んだ高校時代の日々だった。

 ◆工夫を重ねて

 「カラーガードの活動を通じて、警察に興味や親近感をもってもらえたら」と異動を希望。過去の経験値も買われ、平成27年2月にカラーガードの制服に袖を通した。

 配属から約2カ月で挑んだ、相模原市内で行われた桜祭りでの初舞台は、「緊張し過ぎて何も覚えていない」。旗を落としてしまうミスを、その後も幾度となく重ねてしまった。

 演技は風の強い屋外で行うこともあれば、照明に照らされる屋内のこともある。実戦に近い形を求め、あえて風の強い日に屋外で練習するなど工夫を重ねた。

 そして迎えたのが、28年10月に県民ホール(横浜市中区)で行われた「演奏とドリルの祭典」だった。

 これをラストステージに、任期を終える先輩との最後の演奏で、心地よい緊張感に包まれながらやり切った演技は、「一生忘れられない10分間」となった。

 ◆鬼の形相で

 配属から約2年がたった今年3月、リーダーに指名された。とはいえまだ22歳。非番の日には同僚らと料理教室に通い、料理の出来に一喜一憂する。だが練習中は「鬼の形相になる」。メンバーには年上も多いが、「空気が緩んだな」と感じると遠慮なくげきを飛ばすという。

 カラーガードの顔として、前に立つ機会も増えた。演技の合間にマイクを握り、特殊詐欺防止や交通事故防止といった警察広報のアナウンスも任されるようになった。

 プレッシャーもあるが、励みになるのは県民との触れ合いだ。子供たちは「すごい!」と素直に驚いてくれる。大人たちからは盛大な拍手が送られる。「カラーガードを頑張ってきてよかった」と、心から実感する瞬間だ。

 リーダーとしての任期は来年3月まで。同時に、音楽隊での任期も終える。「もっと突き詰めた演技をお届けできれば」と熱っぽく語る横顔は、「頼れるリーダー」のそれだった。

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【プロフィル】きたやま・みずき

 平成7年3月生まれ。本県出身。25年に県警に採用され、神奈川署地域課を経て、27年2月からカラーガード所属。趣味は県内での食べ歩きで、好きな食べ物はバウムクーヘンやシナモンロール。モットーは「失敗を恐れない」こと。

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【用語解説】県警音楽隊カラーガード

 県民と警察を結ぶ「音の架け橋」として活動する音楽隊(昭和25年設立)の一部門。全国の警察に先駆けて49年に編成され、県内外で年間150以上の演技を行っている。メンバーは13人で、全員が女性警察官。音楽隊にはほかに、楽器演奏を担当する「演奏隊」がある。

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