1人が死亡、19人が重軽傷を負った大阪府吹田市の遊園地「エキスポランド」(閉園)のジェットコースター事故から5日で10年となる。事故を教訓に国は規制強化を進めるなどしてきたが、アトラクションの事故は後を絶たない。
エキスポの事故は車軸が金属疲労で折れ、ジェットコースターの2両目が1両目に乗り上げる形で脱線した。その後、園側が超音波などで亀裂を調べる「探傷試験」を先送りしたことが判明。さらに、吹田市へは「異常なし」と虚偽報告していた実態も明らかになった。
ただ、こうした対策の甘さは他の遊園地などでも指摘された。
定期検査を全国のコースター24%が行わず
そもそも、アトラクションについて定期検査や報告のガイドラインはあっても探傷試験の内容や回数など明確な定めはなく、エキスポ事故直後に国が行った調査では全国のコースターの24%が一度も行っていなかった。
こうした現状を踏まえて国土交通省の社会資本整備審議会が平成20年2月に安全対策を公表した。建築基準法の改正などが行われ、検査内容を明確化し年1度の報告▽検査員資格者の定期講習▽事故や不具合の報告-などを義務づけ、自治体側にも指導点検計画を立てさせた。
また、22年からは、人身事故に至らなくても重大事案は同審議会の昇降機等事故調査部会の委員が現地調査をするなどして原因を究明し調査報告書を公開。国に改善意見を出して再発防止策を確実に立てる仕組みを構築したことで、安全装置の多重化や運行・点検基準の詳細化が進められた。