かたや米国向けに繊維製品などの輸出拡大を期待していたベトナムやマレーシアはマイナスの影響が大きい。協定のうまみが少なくなったにも関わらず、国有企業改革や外資規制の緩和などを合意通り受け入れれば、国内の反発は必至だ。
一方、圧倒的国力を生かし各国と米国第一の2国間協定を結ぼうと目指すトランプ政権への防波堤を作るには、協定を早期発効させ、「TPP以上の譲歩はできない」と示す必要がある。日本はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が予定される11月前半をめどに米国抜きの協定を大筋合意したい考え。
ベトナムやマレーシアなどの説得に失敗した場合、有志国で先行発効する「議定書方式」が有力になる。ただ、「米国を将来、TPPに復帰させるためにも、11カ国がバラバラになるのは避けたい」(通商筋)との声も強く、議論を主導する日本は閣僚会合に向け難しいかじ取りを迫られる。