米国離脱後の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加11カ国による首席交渉官会合が2日午後(日本時間3日未明)、カナダのトロントで始まった。米国抜きの発効に向け、日本は最小限の変更による早期発効を主張しているが、問題点を指摘する国が相次ぎ協議は難航している。11カ国で足並みがそろわない場合、TPP協定とは別に有志国で先行発効させる「議定書方式」が有力になる。
首席会合は2日間の日程で開かれ、20、21日のアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合に合わせて開くTPP閣僚会合の声明案なども協議する。
2日の会合では、規模が大きい米国市場への輸出を期待してTPPに参加したベトナムやマレーシアなどが、米国抜きの発効に難色を示したもようだ。中南米4カ国の貿易自由化の枠組み「太平洋同盟」に参加しているペルーなどでは、中国を含む新たな枠組みを模索する動きもあり、積極的な姿勢を示していない。
交渉関係者は現地での取材に対し「5カ国での発効でも構わない」と述べた。11カ国での発効にこだわれば調整が長引き、発効を目指す機運自体が低下しかねない。日本はTPPを空中分解させず、米国が将来復帰する可能性を残したい考え。先行発効の場合は、日本のほかオーストラリア、ニュージーランドなどの参加が想定される。