問題は森林法198条。「保安林の区域内」で森林の産物を盗んだ場合だ。法定刑は懲役5年以下または50万円以下の罰金で、TOC条約の対象となる。
法務省の林真琴刑事局長は4月28日の法務委で、「窃盗の対象にはコンクリートの原料となる砂も含まれる。暴力団などが販売目的で土砂を盗むことも想定される」と話した。
実際、平成12年には玄海国定公園(福岡県玄海町)で保安林のクロマツや土砂などを採取した指定暴力団の組長が逮捕される事件もあった。法務省幹部は「保安林とは水源涵養(かんよう)林や防風林、防砂林など公益を守るための森林だ。組織的犯罪集団が違法伐採すれば、森林の保水力がなくなり、洪水や土砂崩れが発生する恐れがある」と指摘する。
常識的な判断を
民進党「共謀罪」対策本部長の枝野幸男前幹事長は4月21日の衆院法務委で、こうただした。
「音楽教室で著作権料を支払わずに楽譜を使って演奏し、著作権法違反になれば、普通の団体も組織的犯罪集団に当たるのでは」
音楽教室に通う一般の人も組織的犯罪集団に当たる可能性はないのか、というのだ。これに対し、林刑事局長は「(音楽教室が)著作権法違反という犯罪行為を行うために集まっていると立証できなければ、犯罪のために結合している団体とは認められない」と否定したが、ある法務省幹部は「著作権法違反は組織的犯罪集団の資金源になっているCDやDVDなどの海賊版の製造・販売を念頭に置いている」と解説する。