この条件を厳格に当てはめれば共謀罪を新設する対象犯罪は676に上るが、「対象が多すぎる」といった懸念もあり、対象犯罪が限定された経緯がある。
条約では、国内法上求められれば、重大犯罪を実行するための準備行為や組織的な犯罪集団が関与する場合に限定することを認めており、この「2つのオプション」を活用することで、テロ等準備罪は最終的に277の罪が対象となった。
「おじいさんが『山へ柴刈りに行こうか』とおばあさんに言ったら、森林法の共謀罪なんですか!」
社民党の福島瑞穂副党首は4月23日、JR新宿駅前(東京都)でこう訴えた。テロ対策といいながら「直接生命に関わらない犯罪」まで対象になるのは理屈に合わないと、野党は主張するのだ。
問題は「保安林」
なぜ森林法もテロ等準備罪の対象なのか。法務省幹部は「野党はキノコ狩りを取り上げているが、樹木や土砂が資金源になっていることが重要。保安上の問題がある刑が重いのだ。国際的には組織的犯罪集団が違法伐採で資金を稼いでいるケースもある」と説明する。
森林法197条は、森林でその産物を盗んだ者は、3年以下の懲役または30万円以下の罰金と規定している。通常の森林であれば、TOC条約が求める「重大な犯罪」に当たらない。