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「山へ柴刈りに行こうか」と言ったら、共謀罪-。共謀罪の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案をめぐり、野党がこうした極論を展開している。テロ等準備罪の対象犯罪には、テロとの関係が不明確の犯罪も含まれているという主張だ。確かに、柴刈りに行く相談をしただけで処罰されてはたまらないが、本当に法案の問題点を突く指摘といえるのか。誤解に基づく曲解で、ただいたずらに国民の不安をあおるだけの言説の可能性はないのか。(大竹直樹)
山の幸も対象?
「キノコとか竹とか、山の幸を無許可で採っても、テロの資金源だから共謀罪という話があった。海産物、海の幸はなぜ入っていないのか」
民進党の山尾志桜里前政調会長は、4月19日の衆院法務委員会でこう疑問を呈した。テロ等準備罪の対象となる277の犯罪の中には、森林法違反も含まれる。
産物とは土砂や立ち木だけでなく、「山の幸」のキノコも入る。そこで山尾氏は「これはテロ対策なのか」と気炎を上げたのだ。
2020年東京五輪・パラリンピックを控え、今回の法案成立は、国際組織犯罪防止条約(TOC条約・パレルモ条約)締結に欠かせない。条約を締結するためには、長期4年以上の懲役・禁錮刑に当たる重大な犯罪について、犯罪の合意(計画)段階から処罰できる「共謀罪」か、組織的な犯罪集団の活動に参加することを処罰する「参加罪」のいずれかが必要となる。