大相撲

元横綱佐田の山死去 現役時代の弟子・舞の海秀平氏寄稿「師匠らしい潔い生き方」

舞の海秀平氏
舞の海秀平氏

 元横綱佐田の山で、日本相撲協会理事長を務めた市川晋松氏の死去に際して、現役時代に弟子だった解説者の舞の海秀平氏(元小結)が1日、産経新聞に寄稿した。

 来るべき時が来てしまった。4月30日の午後、兄弟子から訃報の連絡を受けたが、実感がわかない。

 最後に会ったのは、10年ほど前。師匠の地元長崎・五島列島で行われた少年相撲大会に同行させていただいた。一緒に郷土料理に舌鼓を打ったことを昨日のことのように思い出す。

 4月27日に亡くなり、通夜と告別式を家族葬で済ませた後の発表には、故人の強い遺志があったという。最後の最後まで師匠らしい。潔い生き方を貫いた。

 2場所連続優勝した直後の場所で現役引退。横綱という崇高な地位の重みを誰よりもわかっていた。

 時代を先読みしていた年寄名跡改革は他の親方衆に反対され、理事長を退任。恒例の還暦土俵入りも行わず、定年退職後はほとんど表舞台に姿を見せなかった。

 稽古場の上がり座敷に座っているだけで、ぴーんと空気が張り詰めて力士が立ち合いでぶつかり合う音だけが響き渡る。威厳を身にまとっていたが、小兵の私には「好きなようにやれ」と言ってくれた。一つの型にはめられていたら、果たして幕内で躍動することはできただろうか。土俵上で自由な発想を持ち続けられたのも師匠のおかげだ。

 引退後に授かった言葉が忘れられない。角界に残らないことを伝えると「相撲界を中から支える人も必要だが、外から支える人も大事だ」と第二の人生へ背中を押してくれた。今でも師匠ならどう判断して行動するかをまず考える。相撲のみならず人生の師だった。

 最近体の調子がよくないと聞いてはいたが、あまりに突然だ。もう一度会いたかった。

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