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日本の官民がフィリピンに熱い視線を注いでいる。安倍晋三首相が1月に同国を訪れ、ドゥテルテ大統領との会談で向こう5年間、官民合計でインフラ関連などに1兆円規模の支援や投資をすると表明。大手商社など民間企業トップの「フィリピン詣」も活発化している。同国のインフラ市場で大きな商機が見込めるためだが、液化天然ガス(LNG)輸入基地や鉄道などの大型案件では中国企業との真っ向勝負も予想される。どう差別化していくか知恵の見せ所だ。
日比の2国間関係が盛り上がったのは、昨年10月のドゥテルテ大統領の訪日以降。3月下旬にはインフラ事業を支援する「経済協力インフラ合同委員会」の初会合が東京で開かれ、日本側から和泉洋人首相補佐官、フィリピン側からはドミンゲス財務相らが参加した。日本政府は電力インフラ整備や効率化の行動計画を提案。今秋にも開く第2回会合は鉄道インフラなども議題にのぼる見通しだ。
日系進出は倍増
今なぜ、フィリピンなのか。好調な経済を背景に、日本企業の進出数は自動車関連や電子部品、コンビニエンスストアなど1448社と、この10年で2倍以上に増えた。今後の最大の商機は同国のボトルネックとなっているインフラで「電力や交通、防災システムなど商機は山ほどある」と日本の産業界の鼻息は荒い。
政府が力を入れる背景には、海洋安全保障分野の連携を強化したい思惑に加え、インフラ輸出で中国に負けられない事情もある。