日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は2日、横浜市内で開かれた国際会議で講演し、中国が日本や米国に対抗する形で設立を主導したアジアインフラ投資銀行(AIIB)の加盟国が増えてきたことについて「いいことだ」と述べ、歓迎する考えを示した。黒田氏は日銀総裁就任前の2013年3月まで、アジア開発銀行(ADB)の総裁を務めていた。黒田氏が公の場でAIIBに言及するのは珍しい。
AIIBの加盟国は3月時点で70カ国・地域に拡大し、ADBの67カ国・地域を上回った。先進7カ国(G7)で参加を見送っているのは日米だけで、中国の国際社会での影響力拡大が顕著になってきた。
アジア開発銀行研究所(ADBI)などが主催した会議の中で講演し、来場者の質問に応えた。黒田氏は「アジア地域の莫大(ばくだい)なインフラ需要はADBと世界銀行だけで満たすことは不可能だ」と指摘し、AIIBにもアジアのインフラ整備に貢献するよう求めた。
黒田総裁は「(日本や中国のイニシアチブ(主導権)の間の連携調整を慎重に進めることができれば、アジアの経済成長にプラスに作用する」と強調。ADBとAIIBの連携強化を主張した。