浪速風

コブシ咲く北国の春

日本は広い、それも南北に長いことを気づかされた。北海道を旅した。到着した日に函館で桜の開花が宣言されたが、宿泊した層雲峡温泉は雪で、阿寒の山中の湖はまだ厚い氷に覆われていた。兵庫県豊岡市や鳥取県倉吉市などで真夏日になった昨日は、札幌の大通公園で寒風に震えた。

▶桜より早く、真っ白なコブシの花が満開だった。北国の自然を愛した宮沢賢治は童話「マグノリアの木」でこう表現した。「枝にいっぱいひかるはなんぞ」「天に飛び立つ銀の鳩」。マグノリアはコブシの学名である。確かにコブシの花は、枝にとまって早春の空に飛び立とうとするハトに見える。

▶コブシの開花は農作業を始める指標になる。コブシの花が多い年は豊作という。東日本大震災を「東北でよかった」と発言した前復興相は、そんな北国の暮らしを想像すらできなかったのだろう。対して、被災地に寄り添う「#東北でよかった」のツイッター投稿は、春風のように温かい。