【マニラ=吉村英輝】東南アジア諸国連合(ASEAN)は30日、フィリピンの首都マニラで29日に開いた首脳会議の議長声明を発表した。産経新聞が入手した直前の声明案には、南シナ海の人工島で軍事拠点化を進める中国を念頭に、「埋め立て活動」や「軍事化」を指摘する文言の記載があったが、発表された声明では、これらの文言が消えた。ドゥテルテ政権になってから対中融和を優先している議長国フィリピンの意向が、色濃く反映された形となった。
一方、声明案にあった「複数の加盟国と中国との2国間関係が改善していることに留意」との記載も消された。議長声明の内容をめぐっては、中国への強すぎる配慮に懸念を示すインドネシアなどが、フィリピンへの説得にあたって修文作業が続き、会議当日の29日の発表が延期され、バランスがとられた。
また、中国との間で協議している南シナ海の紛争防止に向けた法的拘束力のある「行動規範」については、「今年半ばまでに枠組みを完成させる」と期日を盛り込んだ期待表明を案文のまま残し、中国側へ圧力をかけた。