芝3200メートルの中央競馬レコードを0秒9も更新する快走劇で天皇賞・春を連覇したキタサンブラック。従来の記録を持っていたディープインパクト(06年)の手綱も取っていた武騎手は「あのときはしばらく破られないと思ったが…すごい記録が出ましたね」と話し、現役最強の走りをみせたパートナーに改めて敬意を表した。
10馬身以上離してひとり旅を続けるヤマカツライデンを見ながら、第2集団の先頭でレースを運び、2周目の直線に入ると満を持して先頭へ。逃げ馬が最初の1000メートルを58秒3というハイペースで飛ばしたため最後は消耗戦となったが、「去年の春より力強くなった」(武騎手)その走りに追いつく馬はいなかった。
2強といわれ、昨年暮れの有馬記念で敗れたサトノダイヤモンドとの再戦に圧勝。現役最強の称号を手に入れ、ファンの注目は仏凱旋門賞(がいせんもんしょう)の挑戦に集まる。馬主の北島三郎さんは「かわいいわが子を遠い空のかなたに送るのもつらい」と話しつつ、「武さんが乗ってくれるなら」。その武騎手は優勝インタビューで「楽しみにしていてください」とファンに宣言した。武・キタサンのコンビから今後も目が離せない。(市坪和博)