産経抄

歴世の「焚書」と変わらぬ愚行…図書館の寄贈書無断廃棄 4月30日

 本にまつわる記念日が、いくつあるかご存じだろうか。

 ▼小欄は読書週間初日の「文字・活字文化の日」(10月27日)を知るのみだったが、数えると計11日もある。そのうち6日が4月に集中しているのは、新年度の始まりが関係しているのだろう。「よい図書」と語呂合わせした4月10日は「教科書の日」という。新品の教科書を手に、得意満面の小学1年生が目に浮かぶ。

 ▼4月30日は「図書館記念日」とされている。公立図書館の利用を原則無料とする図書館法の公布が、昭和25年のきょうだった。書物の自由な流通が、ときの支配者層にとってどれほど目障りだったかは、あまたの焚書(ふんしょ)を見れば分かる。図書館が「民主主義の礎」と呼ばれるゆえんである。わが国では、北条実時の手になる鎌倉期の私設図書館「金沢文庫」などが名高い。

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