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母親に死なれ、保護された野生のヒグマの子グマが、飼育されている子育て中の別の母グマが里親になり、無事に育った-。北海道登別市の「のぼりべつクマ牧場」が28日、報道陣にお披露目した。専門家によると、野生の子グマが里親に育てられる例は珍しいという。
子グマは1月末、新冠町の山中でまだ目もあいていない状態で計3頭保護された。クマ牧場で子育て中だった2頭の母グマ「トルエ」(18歳)と「レガリア」(22歳)に育ててもらうことにしたがトルエは育児放棄。里子2頭を含む3頭とも死んでしまった。
一方、レガリアは自分の子2頭と里子の計3頭を育てていたが、うち1頭は死亡。残った2頭を今月17日、レガリアから離し、毛根で遺伝子鑑定したところ、無事育ったのは野生のオスと実の子のオスであることが判明した。
この日の測定で、野生は5・4キロ、体長48センチ、もう1頭は4・5キロ、43センチ。2頭は血はつながっていないが仲良しで、飼育員から哺乳瓶で乳を飲んでいる。野生の方がやんちゃで甘えん坊という。
坪田敏男・北大教授(野生動物学)は「草食獣は自分の子以外は育てない。一方、犬や猫など肉食獣は他人の子に寛容であることはわかっていたが、それがヒグマにもあてはまることが実証された。私が知る限り国内での確認例は初めてではないか」と評価している。
野生のクマを受け入れることは遺伝子の多様性につながるために重要という。