産経抄

名宰相とは器が違うと言ってしまえばそれまでだが… 4月27日

 吉田茂元首相が真冬に地元の高知に帰り、演説していた。オーバー姿の元首相にヤジが飛んだ。「吉田、オーバーをぬげ。ぬがないと票をもらえないぞ」。

 ▼元首相は「何を」とにらみつけてから、やり返す。「ガイトウを着たままやるから、ガイトウ演説なのであります」。放言も多かった元首相には珍しい、名言のエピソードである。作家の丸谷才一さんのエッセー『昭和失言史』で知った。

 ▼名宰相とは器が違う、と言ってしまえばそれまでだ。復興相を辞任した今村雅弘氏は、今月はじめの記者会見で、フリー記者の挑発にまんまと乗ってしまった。福島第1原子力発電所事故の自主避難問題をめぐって、暴言を吐いた。福島県産品の風評被害についても、「生産者の努力が必要」と発言している。

 ▼25日に所属する自民党二階派のパーティーで行った講演は、それまでの失態を帳消しにするチャンスだった。大事な舞台で出た、極めつきの失言である。「(東日本大震災が起きたのが)東北でよかった」。

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