いじめや不登校、退学、そしてリストカット…。22歳まで発達障害と分からず、葛藤と苦悩の日々を送り続けてきた宮崎在住のピアニスト、野田あすかさん(35)の大阪での初リサイタルが30日、大阪市中央区の「いずみホール」で開かれる。試練を乗り越えてきたからこそ奏でられる優しく伸びやかな音色はテレビでも感動を呼んだ。野田さんは公演を前に、「人の心の力になりたい」と話している。(小泉一敏)
幼いころから相手の気持ちや場の空気が読めず、言葉をそのままの意でしか受け取れなかった。自分の興味のあることは長時間没頭できるが、他人の表情やしぐさの意味も分からない。
両親はちょっと変わった個性だと見守ってくれたが、どうして周りの人とうまくいかないのか悩み続けてきた。小学校のとき、教師から三角食べをするよう指導されると、ご飯、みそ汁、おかずを、ひと口ずつ食べては箸を置き、また食べ始めるということを忠実に繰り返し、「食べるのが遅すぎる」と注意された。