三井物産が生食用サケの陸上養殖に参入

 三井物産は24日、水産物の室内養殖システムの開発を手掛けるベンチャー、FRDジャパン(さいたま市岩槻区)を子会社化し、サーモントラウトの陸上養殖事業に乗り出すと発表した。月内に9億円を投じ8割を出資する。平成30年4月をめどに千葉県を候補地に年産30トンの試験プラントを稼働し、32年にも1500トン規模の商業生産に拡張。すしネタなどに使われる日本国内の生食サーモン消費量(約3万トン)の5%のシェア獲得を目指す。大半を輸入に頼る生食向けサケの国内自給率向上にも貢献する。

 陸上養殖はJR西日本と富山県射水市が陸上養殖したサクラマスを試験販売するが、量産化できれば世界初という。

 同社の技術はバクテリアを使った高度な濾過(ろか)技術で特許も保有し、ほぼ水替えが不要な循環型システム。水族館などに納入実績があり、現在、アワビとサーモントラウトの試験養殖を行っている。

 生食用サーモンは健康志向で中国や欧米で需要が増える一方、天然は漁獲規制で減少し、海面養殖も適地が限られ、事実上拡大は難しい。三井物産もチリでサケの海面養殖に参画するが、陸上養殖参入で、病害・災害リスクや物流コスト削減につなげ、アジアへの陸上養殖のプラント輸出も計画している。

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