内側から見る異文化…吉田憲司さんが民博館長に就任

 今秋開館40周年を迎える国立民族学博物館(大阪府吹田市)は、故梅棹忠夫さんが初代館長を務めた日本の文化人類学・民族学の研究拠点。その第6代館長に今月、吉田憲司副館長(61)が就任した。「異文化理解はさらに重要になってくる。これまで以上に、国際的な発信力を強化しなければ」と意気込む。

 京都市出身。大阪大助手を経て昭和63年から同館に勤務。異文化を「未開」という偏見でとらえた博物館や美術館の展示手法について早くから問題提起し、平成11年の著書「文化の『発見』」でサントリー学芸賞などを受賞。同館の収蔵品は世界最大規模の34万点に及ぶが、20年から始まった展示の全面リニューアルに責任者として携わり、先月完了したばかりだ。「異文化の当事者に資料の説明を加えてもらうなど双方向の展示ができた」と自負する。

 原点にはアフリカの仮面研究の第一人者として30年以上続けてきた徹底したフィールドワークがある。ザンビア東部チェワ族の村に住み込み、村人以外で初めて仮面結社への加入を認められた。「内側」から宗教儀礼などをつぶさに見つめたことで、展示「される」側の思いを知った。

 さらに大英博物館に客員研究員として赴いた際は、膨大な資料に触れる中で収集のあり方に関心を持つようになった。生活に根づいた道具は「暮らしを不便にするようで、収集する気になれない」と苦笑。異文化を展示する権利は誰のものか、真摯に問い続ける。(木ノ下めぐみ)

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