小諸市動物園のライオンかみつき事故 扉閉め忘れた「人為ミス」 検証委が報告書

 ■来月3日再開

 小諸市動物園の女性飼育員(22)が2月26日、雌ライオンのナナ(15歳)に獣舎内でかまれて重傷を負った事故で、有識者による同市動物園安全対策検証委員会は22日、事故は女性飼育員が屋外展示場とスタッフ通路の間の扉を閉め忘れたまま、ナナを屋外展示場に出したことによる「ヒューマンエラー(人為ミス)」で発生したとする報告書をまとめ、小泉俊博市長に提出した。小諸市は、休園中の同園を5月3日に再開することを決めた。

 検証委はまた、園内の作業環境や手順、人員配置なども事故原因に含まれているとして10項目の安全対策を挙げて再発防止を求めた。

 ◆飼育員が判断

 検証委は、日本動物園水族館協会安全対策委員会の坂本英房・安全対策部長(京都市動物園副園長)を委員長に県内外の動物園関係者ら計4人で構成し、3月16日の初会合以来、事故原因の究明と再発防止策の検討を進めてきた。

 報告書によると、ナナを屋外展示場に移動させる際にはスタッフ通路の扉は閉めなければならないが、女性飼育員はこの作業を怠り、ナナがいた寝室と屋外展示場を隔てた2つの扉を開けた。このため寝室とスタッフ通路はつながった状態となり、直後に襲われた。

 ミスが起きた要因として報告書は、病気治療でナナを1カ月ほど外に出していなかったが、体調が良かったことや獣舎内に臭気がこもっていたことなどから換気も兼ねて女性飼育員が扉を開けたとした。相談する職員は近くに存在せず、ナナの移動を1人で判断した。女性飼育員はナナの担当を11カ月間務め、ライオンが危険な動物との認識はあったと認定した。

 再発防止策として、職員への安全教育と良好なコミュニケーションを確保する▽動物の移動に伴う扉の開閉は指差し確認を行い声に出す▽危険動物の移動の際には作業者と確認者のダブルチェックを行う-ことなどを求めた。

 ◆「ナナも被害者」

 坂本委員長は「飼育員が被害者であると同時に、飼育員の判断で事故が起きた点ではナナが被害者といえる。ナナを殺処分にしなかったのは適切な判断だ。各機関が当事者意識を持って再発防止に取り組むことを願っている」と述べた。

 小泉市長は「報告書を真摯(しんし)に受け止め、二度とこのような事故が起きないように安全対策を進めたい」と語った。

 小諸市は、同園職員の安全確認のミーティングを強化するため、開園時間をこれまでの午前8時半から平日は同9時半、土日曜日は同9時に変更する。また正規職員1人を増員し、女性飼育員復帰までの代替臨時職員も採用した。5月3日の再開日には、同園がある懐古園内の施設入館料・入園料は無料にするという。

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