「異例」の結果、問われる手腕 慶應義塾次期塾長選

長谷山彰・慶応義塾次期塾長
長谷山彰・慶応義塾次期塾長

 「異例の結果ではないか」。慶応義塾次期塾長に常任理事の長谷山彰氏が選出された経緯について、慶応関係者の一部から驚きの声が漏れた。

 塾長選では、教職員による推薦投票で候補者が上位3人にしぼられ、選考委員会が票数や各候補の抱負などをもとに1人を選び、最高意思決定機関である評議員会が選出する。

 複数の慶応関係者によると、上位3人のうち1位の候補者が塾長に選出されるのが通例とされるが、長谷山氏は213票で1位の230票に次ぐ2位だった。あるOBは「小差とはいえ、1位の人以外が塾長になるのは少なくとも聞いたことがない」と話す。

 選出過程以上に注目されるのが、次期塾長による今後の大学運営のかじ取りだ。英教育専門誌などが3月に公表した日本版の大学ランキングで、私大では早稲田大の10位に次ぐ11位だった慶応大。懸念が広がったのは指標の中の「国際性」分野で、国立大はもとより、ライバルの早大に25ポイント以上も離され、低く評価されたことだった。

 同大の運営に中心的に携わってきた元幹部は「大学の国際化は今後の非常に大きな方向性だが、世界レベルでみるとまだまだ足りない」と大胆な改革を期待する。学術の基盤となる研究資金の調達も課題だ。この日の会見で、長谷山氏は「研究資金構成が、他の主要大学に比べて自己資金比率が極めて少ないことが問題」と述べ、改善に取り組む意向を強調した。

会員限定記事会員サービス詳細