竹島を考える

日韓合意はどこへ?苦々しい慰安婦像ラッシュ、韓国の無軌道をただせない日本政府は「裸の王様」だ 

米カリフォルニア州グレンデール市に設置された慰安婦像。撤去を求めた訴訟で、原告の日系住民らの上告審の請願が棄却された
米カリフォルニア州グレンデール市に設置された慰安婦像。撤去を求めた訴訟で、原告の日系住民らの上告審の請願が棄却された

竹島問題は、解決不能な問題ではない。むしろ解決しておかねばならない日韓の懸案である。それが解決せず、韓国による不法占拠が続くのは、韓国側だけに問題があるからではない。「日本政府の当事者能力にも限界がある」ということだ。それは、慰安婦問題などに対する日本政府の対応を見れば、納得がいく。

日本政府が慰安婦問題を大きくした

米連邦最高裁判所は3月27日、米カリフォルニア州グレンデール市に設置された慰安婦像の撤去を求めた訴訟で、原告の日系住民らの上告審の請願を棄却。慰安婦問題は、この原告敗訴で新たな局面を迎えた。

韓国系米国人らにとって慰安婦像の設置は、「大日本帝国軍によって自宅から強引に連れ去られ」「強制的に性的奴隷状態にされた」女性に対して、日本に過去の蛮行を反省させ、謝罪させる手段だ。今回の米連邦最高裁判所の判断は、その活動にお墨付きを与えたことになる。

慰安婦問題は、1990年の金丸訪朝(自民党の金丸信・元副総理と社会党の田辺誠・副委員長らによる北朝鮮訪問)の際に、北朝鮮との間で「戦後補償」が問題とされ、韓国の一部の市民団体が、慰安婦問題を戦後補償の対象としたことに始まる。

その慰安婦問題では、1993年の「河野談話」(慰安婦関係調査結果発表に関する河野(洋平)内閣官房長官談話)で、当時も使用されていなかった「従軍慰安婦」といった用語を不用意に使い、「軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」とし、それを「歴史の真実」として、「歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を長く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さない」と表明した。

2013年に設置されたグレンデール市の慰安婦像は、日本にその履行を求めるためのプロパガンダである。その慰安婦像の撤去を求めて、民間人や日系住民がなぜ訴訟まで起こさねばならないのか。慰安婦問題をここまで大きくしたのは、日本政府なのである。

韓国史に散見「弱体化政府と民衆の対立」

昨年末、慰安婦像が韓国・釜山の日本領事館前にも建てられ、その後も韓国内には、慰安婦像の設置が続いている。この慰安婦問題に関して、2015年12月28日の日韓外相会談で合意がなされ、韓国側が「日本政府と共に、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」とした。

だが、慰安婦問題はこれで終わったわけではない。慰安婦像を建てるのは「市民団体」と称する一団と、それに付和雷同する人々である。大統領だった朴槿恵(パク・クネ)氏が罷免され、弱体化した韓国政府にはそれを抑える力はない。その韓国政府に、日本政府が合意の履行を迫れば韓国の世論が反発し、韓国政府を窮地に追い込むだけである。

この「弱体化した政府と民衆の対立」という構図は、韓国の歴史に散見する。その一つは120年ほど前、閔妃(びんひ)(李氏朝鮮の王妃)と閔氏一族が国政を壟断(ろうだん)し、売官売職(金品による官職の売買)を行ったため、朝鮮各地で民乱が起きていた時代である。