実際、この反スパイ法が施行されて以降、日本人だけで4人以上が中国で拘束されることとなったが、彼らの中には、普通のビジネスマンや主婦、日中間の交流活動に従事している「友好人士」が含まれている。
ただでさえこのありさまだから、上述の新規則が実施されたことで、状況はよりいっそう厳しくなっていく。
最高800万円という、普通の労働者年収の10倍以上という法外な報酬金は、あまりにも魅力的だからである。
首都の北京とはいえ、社会の底層には、「金の亡者」のゴロツキやならず者たち、賭博や麻薬にどっぷりとつかっている人々、闇金融に手を出して借金の取り立てに追われている人たちは大勢いる。
彼らにとって、当局の新規則はまさに「干天の慈雨」となろう。
彼らはこれから、北京市内でビジネスに従事している外国人や、さまざまな交流活動を行っている外国人、そしてそれらの外国人とつながっている中国人たちの周辺に張り付いて、毎日のように監視の目を光らせ、ありとあらゆる捏造(ねつぞう)や妄想の情報を当局に通報するであろう。
その際、首尾よく報奨金にありつけたらもうけもので、不発に終わったとしても別に失うものは何もない。