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■「認められうれしい」
芸術としてのフランス料理を究めたシェフに与えられる賞「国際料理芸術クープドール・マリウス・デュトレイ」に、日本人として初めて、京王プラザホテル(東京都新宿区)の緑川広親名誉総料理長(77)が輝いた。授賞式は今月、パリで行われ、帰国した緑川さんは「料理一筋に打ち込んできた。認められてうれしい」と静かに喜びを語った。(櫛田寿宏)
◆ロブション氏も
賞は1958年に創設され、これまでにポール・ボキューズ氏やジョエル・ロブション氏ら、世界的なシェフが受賞している。
緑川さんは「長い伝統がある世界を、長い時間をかけて追求し、この賞をいただくことになった」と笑顔を見せる。
埼玉県川口市に生まれた。鋳物職人だった父親は先の大戦で出征し、昭和19年に戦死。母親は女手一つで3人の子供を育てた。「今では想像もつかないような小さな家でした。靴が買えず、いつもげた履きでした」。小学校低学年のとき、近所の親戚がズック靴を買ってくれたうれしさは今も忘れられないという。